住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)という法律があります。
社会問題化していた、いわゆる「欠陥住宅」に対応する施策として、20年ほど前に成立した法律です。2000年(平成 12 年) 4 月 1 日に施行。
その法律の中に「住宅性能表示制度」というものがあります。この表示制度は任意です。
例えば自動車の性能は、
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・走行性能(動力、燃費、操縦等)
・快適性能(振動、騒音、乗り心地等)
・実用性能(視界視認、操作性、室内広さ、乗り降り等)
・安全性能
・規制対応(排気ガス、騒音等)
・耐久性能 など。
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簡単に言えば、この車性能の住宅版が住宅性能です。
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住宅の性能を10分野に分類し、各分野ごとに等級1とか等級3とか表示します。等級の数が大きいほど、各分野の対策が施されている事を表わしています。
因みに等級1は最低限、建築基準法上の規定だけは満たしている事を意味しています。
第三者評価機関が共通のルールで評価し、住宅の性能を等級表示することになります。
この「住宅性能表示」を見れば、買おうとする分譲住宅(マンション)や、建てようとする戸建住宅が、どんな性能の住宅なのかが解るというわけです。
・①③④⑤は必須項目(表示が必須な項目)
・②⑥⑦⑧⑨⑩は選択項目
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①構造の安定
地震や台風、暴風、積雪などの力に対する建物全体の強さ
②火災時の安全
火災が発生した場合の避難のしやすさや建物の燃えにくさ
③劣化の軽減
建物の劣化を防止・軽減するための対策
④維持管理・更新への配慮
給排水管・給湯管及びガス管の日常における維持管理のしやすさ
⑤温熱環境・エネルギー消費量
暖冷房時の省エネルギーの程度及び設備などの一次エネルギー消費量の程度
⑥空気環境
内装材のホルムアルデヒド放散量の少なさや換気の方法
⑦光・視環境
居室の開口部の面積の大きさや位置
⑧音環境
床・壁の遮音性能、外壁開口部に使用されるサッシの遮音性能
⑨高齢者等への配慮
高齢者等の移動のしやすさや介助のしやすさ
⑩防犯対策
開口部の侵入防止対策
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私は現在この第三者評価機関に所属し、委託を受けて住宅性能評価の業務に従事しております。
先日、人口11万人程度の市のJR駅前再開発事業の一環である、29階建て超高層マンション(いわゆるタワマン)の竣工検査に行ってきました。
このマンションは免震構造で、2年前の基礎検査から今回の竣工検査まで、10回ほど検査に出向きました。
全部で230住戸あるマンションですが、入居できるのは2ヶ月後にもかかわらず、もう既に完売だそうです。
現在20棟ほど、分譲マンションの住宅性能評価検査物件を担当しておりますが、どのマンションも売れ行きは良いようです。
貧困が声高に叫ばれているさなか、こういったマンションは売れ行き好調です。持ってる人は(お金を)持っているんですねぇ。
持たざる者(私)の立場からすると、どうもよくわからない経済論理です。しかし、別に羨ましいとも思いはしませんが。